diario
どちらのジェッソを使う? 6月01日
いま画材店で「ジェッソをください」と言うと
手渡されるのはおそらくアクリルジェッソでしょう。
これはアクリル樹脂で作られた下地材で、手軽で便利です。
一方、古典技法でジェッソといえばウサギ膠で溶いた石膏下地
(ボローニャ石膏あるいはムードンや白亜)を指します。
またイタリアでgesso とはこのボローニャ石膏下地
または石膏そのものを指す場合がほとんどです。
どちらも白い溶液ですし、板や麻布等に
塗り重ねて使う というのは同じです。
大きな違いは、アクリルジェッソは乾くと水に溶けないけれど
膠で溶いた古典技法のジェッソ(石膏下地)は
乾いた後も水に溶けてしまう。
やすりで表面を整えるとき、アクリルジェッソは
固くかつ粘りがあって やすりの目が詰まりやすいけれど
古典技法のジェッソはアクリルジェッソより柔らかく
やすりがけが容易。 そして色味でしょうか。
下の写真、右の細い枠がアクリルジェッソ下地
左の装飾されている額縁が古典技法のジェッソ下地です。
純白のアクリルジェッソに比べて古典技法のジェッソのほうが
黄色を感じる白なのがお分かり頂けるでしょうか。
この色の違い、そして水分の吸い込みの違い
また乾燥スピードの違いなどで
次に塗る色の発色にも違いが出ます。
わたしの印象ですけれど、アクリルジェッソのほうが
より鮮やかに発色させてくれるような気がします。
何よりの違いはこれ、準備の手軽さです。
アクリルジェッソはお店で買えばすぐに使えますが
古典技法のジェッソは前日から膠液を作って
湯煎して石膏を入れて・・・と自ら作らなければなりませんから。
ちなみに古典技法の箔の貼り方である水押しは
アクリルジェッソでは上手くいきません。
KANESEIでは デザインや仕様によってどちらも使います。
どちらのジェッソも違った魅力があります。
もし現代にレオナルド・ダ・ヴィンチが生きていたら
必ずやアクリル系の新しい画材にも誰より興味をもって
精通していただろう!と思っています。