diario
有元利夫と女神たち 4月13日
またもや有元利夫の本のご紹介です。
有元利夫にご興味ない方も どうぞお付き合いくださいませ。
と言いますのも この本には額縁の写真も沢山あるのですから。
古典技法で額縁を作り 古色仕上げが好きなわたしにとって
有元利夫の作品と彼の作った(選んだ)額縁の組み合わせは
いつまでも興味が尽きません。
どの額縁が有元作なのか 装飾だけが有元なのか
分からない額縁もありますが とにかく
有元自身が選んだであろうことは ほぼ確かなことです。
有元利夫の額縁を見ていると イタリアの額縁師匠
マッシモ氏の作る額縁を思い出します。
強い古色の入れ方-木地が見えるほど欠損させた石膏地
模様と言うより絵のような装飾デザイン
虫食いの跡や刃物で入れた亀裂の跡―がとても近い感覚です。
今わたしはここまで強い古色を入れた額縁を作る機会は無くて
つい忘れがちでしたが ひさしぶりに有元利夫展で観て
自分の出発点を思い出したような気持ちになっています。
彼の絵の背景 遠くに見える丘陵地帯もまた
わたしの心象風景に繋がっています。
「有元利夫と女神たち」
発行 木下健太郎
編集 宮澤壯佳
株式会社美術出版社
1986年12月26日 改訂増補第1刷発行