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有元利夫と女神たち 4月13日

 

またもや有元利夫の本のご紹介です。

有元利夫にご興味ない方も どうぞお付き合いくださいませ。

と言いますのも この本には額縁の写真も沢山あるのですから。

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古典技法で額縁を作り 古色仕上げが好きなわたしにとって

有元利夫の作品と彼の作った(選んだ)額縁の組み合わせは

いつまでも興味が尽きません。

どの額縁が有元作なのか 装飾だけが有元なのか

分からない額縁もありますが とにかく

有元自身が選んだであろうことは ほぼ確かなことです。

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黒地に金の装飾模様 カッセッタ額縁。

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額縁自体はシンプルだけどライナーに使われている布が特徴的。 そしてライナーが使われるのもめずらしいことです。

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褐色のボーロに純金箔水押しの額縁。 四隅のフリーハンドによる装飾が可愛らしい。 垂直に入るメノウ磨きの跡は意図したものなのでしょうか。

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この小さな額縁はヨーロッパで買った古いものだとか。 まず額縁ありきで描かれた作品か・・・どうでしょうか。

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シンプルな形の額縁ですが 全面に箔 そして黒で描かれた装飾。 かなり強い古色がつけられています。石膏が割れて木地が見える部分も。

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228×158mmと小品ですが もっと大きな作品に感じます。 赤色ボーロに純金箔の水押し。中央には刻印が押されていますが わざとつけられた傷や虫食い穴と絶妙なバランス。

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こちらも小品。祭壇画のような形が印象的です。 直角に入っている亀裂跡はおそらく刃物で入れた古色の跡です。

有元利夫の額縁を見ていると イタリアの額縁師匠

マッシモ氏の作る額縁を思い出します。

強い古色の入れ方-木地が見えるほど欠損させた石膏地

模様と言うより絵のような装飾デザイン

虫食いの跡や刃物で入れた亀裂の跡―がとても近い感覚です。

今わたしはここまで強い古色を入れた額縁を作る機会は無くて

つい忘れがちでしたが ひさしぶりに有元利夫展で観て

自分の出発点を思い出したような気持ちになっています。

 

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彼の絵の背景 遠くに見える丘陵地帯もまた

わたしの心象風景に繋がっています。

 

「有元利夫と女神たち」

発行 木下健太郎

編集 宮澤壯佳

株式会社美術出版社

1986年12月26日 改訂増補第1刷発行