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Atelier LAPIS(アトリエ ラピス)の様子から 2015年4月№2 4月30日

 

桜の季節も終わり 日あたりの良い atelier LAPIS の教室は

ぽかぽかと気持ちの良い空気と静かな熱気に包まれています。

 

わたしはこの教室を担当するまで 額縁制作に興味を持つ人が

こんなに沢山いらっしゃるとも思わずにいましたが

atelier LAPIS の生徒さん方は皆さん大変に熱心

かつ嬉々として取り組んでおられる姿に わたしも励まされています。

 

さて 4月になってNAさんとTOさんの作品が大詰めを迎え

27日のレッスンでめでたく完成いたしました。

お二人とも細かい作業を苦とせずに 長い時間をかけて

丁寧に制作なさったかいがありました。

NAさんは目に見えて上達するなか 金箔も美しく仕上がり

いよいよ古色を付けてアンティークな仕上がりにする作業が始まりました。

na2015.4a

木槌でたたいたり ぴかぴかの額縁に凹凸を付けます。

さらに磨り出しで磨き上げた箔を落としていきます。

恐々の出だしでしたが 作業終わりころには

「この作業が一番楽しかった気がします・・・!」とのこと。

ぴかぴか状態からの変化がとても楽しいのです。

そして仕上げにワックスとパウダーで汚しを入れて完成。

na2015-4b

 

そしてTOさんの写本模写もいよいよ完成しました。

to2015.4

NAさん TOさん お疲れ様でした。

素晴らしい作品を作ってくださってありがとうございます。

お二人の完成した作品は ぜひ atelier LAPIS の

生徒作品集のブログからご覧ください。

 

atelier LAPIS 生徒作品集

 

 

今年もまた福の神 4月27日

 

4月の中ごろに開花して 連休前に満開を迎える

我が家のモッコウバラは

今年も素晴らしい花を咲かせています。

mokkou2015-1

ちょうどモッコウバラの裏側が作業部屋になっているので

散歩中の人などの「わぁきれい!」という声が聞こえてきて

わたしもひとりニヤニヤと自慢げな気分になっています。

 

そしてこのモッコウバラの花は福の神でもあります。

花が咲くころには毎年大忙しになって

連休中もせっせと作業部屋にこもる時間が増えるのです。

 

KANESEI の晩春はいつも福の神 モッコウバラの花に守られています。

mokkou2015-2

 

待ちきれなくて 「ヨーロッパ アンティーク・カップ銘鑑」 4月23日

 

4月初めに行った「デミタス コスモス」展の図録が売り切れで

でもどうしても欲しくて ネットなどで探してみたのですが

見つからなくて ううーむ

図録が売りに出るまで待ちきれず この古書を買いました。

我ながら気が短い。

cups (1)

ですがこの本の購入は大正解でした。

磁器の歴史から各国窯元の特徴

形・絵付・模様・装飾 また

コレクターに必要とされる知識など。

「贋作との闘い」「鑑別の方法とその勉強法」の項目もあります。

240ページもあって読み物としてもとても充実しているうえに

なにより掲載作品数と写真が豊富でオールカラー!

なかには「デミタス コスモス」展でも観たのと同じデザインの

デミタスカップもありました。

cups (2)-tile

ぎゅっと詰まった小さくも奥深い世界です。

 

良い本に巡り合えました。

知識を得るためだけではなくて

想像力をかきたてる本です。

わたしもぎゅっと詰まった額縁が作りたくなりました。

 

「ヨーロッパ アンティーク・カップ銘鑑」

著者 和田泰志

実業之日本社

1996年11月25日 初版第1刷発行

 

 

遠くて近い 4月20日

 

より良いアウトプット(額縁制作)のために

より良いインプットを。

 

違う分野の「物を作る」を経験してみたら

職人さんの眼差しや手さばきにうなり

繊細な色にときめき

tootika (4)

tootika (3)

いままでだったら面倒がって行かなかったような

すこしだけ遠くにあるギャラリーからお知らせが届いたら

足を延ばしたり

tootika (1)

そんな当たり前のことを あらためて積極的にやっていこう

と思っています。

 

鏡の向こうはより美しく 4月16日

 

純金箔の輝き 鏡に映るのは赤い絨毯と緑の大理石柱。

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わたしの後ろにも確かに鏡に映る世界があるけれど

この額縁に入った鏡の向こう 写っている世界の方が

より鮮やかに美しい世界のように見えます。

 

ここはローマにある さる貴族のお屋敷・・・

ではありません。日本です。

京都の祇園にある長楽館。

この額縁が何処で何時誰によってつくられたのかは

表から見ただけでは定かではありませんでした。

日本製? 外国製?

イタリアの フィレンツェの職人の手によるもの

だったら良いな と思っています。

tyorakukan1

長楽館

 

 

 

有元利夫と女神たち 4月13日

 

またもや有元利夫の本のご紹介です。

有元利夫にご興味ない方も どうぞお付き合いくださいませ。

と言いますのも この本には額縁の写真も沢山あるのですから。

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古典技法で額縁を作り 古色仕上げが好きなわたしにとって

有元利夫の作品と彼の作った(選んだ)額縁の組み合わせは

いつまでも興味が尽きません。

どの額縁が有元作なのか 装飾だけが有元なのか

分からない額縁もありますが とにかく

有元自身が選んだであろうことは ほぼ確かなことです。

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黒地に金の装飾模様 カッセッタ額縁。

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額縁自体はシンプルだけどライナーに使われている布が特徴的。 そしてライナーが使われるのもめずらしいことです。

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褐色のボーロに純金箔水押しの額縁。 四隅のフリーハンドによる装飾が可愛らしい。 垂直に入るメノウ磨きの跡は意図したものなのでしょうか。

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この小さな額縁はヨーロッパで買った古いものだとか。 まず額縁ありきで描かれた作品か・・・どうでしょうか。

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シンプルな形の額縁ですが 全面に箔 そして黒で描かれた装飾。 かなり強い古色がつけられています。石膏が割れて木地が見える部分も。

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228×158mmと小品ですが もっと大きな作品に感じます。 赤色ボーロに純金箔の水押し。中央には刻印が押されていますが わざとつけられた傷や虫食い穴と絶妙なバランス。

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こちらも小品。祭壇画のような形が印象的です。 直角に入っている亀裂跡はおそらく刃物で入れた古色の跡です。

有元利夫の額縁を見ていると イタリアの額縁師匠

マッシモ氏の作る額縁を思い出します。

強い古色の入れ方-木地が見えるほど欠損させた石膏地

模様と言うより絵のような装飾デザイン

虫食いの跡や刃物で入れた亀裂の跡―がとても近い感覚です。

今わたしはここまで強い古色を入れた額縁を作る機会は無くて

つい忘れがちでしたが ひさしぶりに有元利夫展で観て

自分の出発点を思い出したような気持ちになっています。

 

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彼の絵の背景 遠くに見える丘陵地帯もまた

わたしの心象風景に繋がっています。

 

「有元利夫と女神たち」

発行 木下健太郎

編集 宮澤壯佳

株式会社美術出版社

1986年12月26日 改訂増補第1刷発行

 

 

Atelier LAPIS(アトリエ ラピス)の様子から 2015年4月№1 4月09日

 

市が尾にある古典技法のアトリエ Atelier LAPIS では

ひとつの空間で生徒さんそれぞれが作りたい額縁

描きたいものをテンペラで・・・と「合同個人レッスン」で行っています。

わたしが担当させて頂いている月曜日の他にも

Atelier LAPIS主宰の筒井先生による土曜日

また奥秋先生の火曜日 伊東先生の金曜日のコースがあります。

どの曜日も合同個人レッスンは同じですが

やはり講師の得手や生徒さんのご希望によって

曜日ごとに特色が出ているのが面白いのです。

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LAPIS自慢の桜の借景。

もう散り始めていますが 花吹雪もまた美しい。

 

さて月曜コースの最近の進捗状況です。

1ヵ月のレッスン参加回数は生徒さんそれぞれで

MUさんのようにアトリエは月に1度 後はご自宅で制作続行もあれば

NAさんのようにほぼ毎週アトリエでレッスン

というようにペースはそれぞれです。

その自由さもAtelier LAPIS の良いところです。

 

MUさんの黄金背景テンペラ画の大作。

フラ・アンジェリコのリナイウォーリ祭壇画から天使です。

前月は緑の下色だった肌や 白い石膏地の見えていた部分は

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全体に色が入りました。

やはり肌色が入ると ぐっと見やすくなって

他の部分の仕上げも描きやすくなります。

腕鎮(わんちん)も慣れが必要ですが ぜひ使っていきましょう。

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NAさんの全面盛り上げレリーフの額縁も2月は下描きだった部分に

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3月すべてレリーフが入りました。

na2015.3

とても丁寧な作業だったので 修正もほぼ必要なし。

そして4月。

金箔の水押しを終え メノウ磨きの仕上げです。

長い道のりでした。

初めての古典技法額縁の制作でここまで出来れば上々です!

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今は入れ子ライナーに入れる線刻模様を思案中です。

 

こちらは月曜コースで流行中のグラッフィートに

挑戦中のHAさんの額縁です。

3月に水押しで貼った金箔は大成功 わたしの赤いセーターが

写り込むほど美しく磨き上げられた額縁には

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濃紺の卵黄テンペラ絵の具を塗って 削りだしです。

なにせ模様が細かいので作業も根気が要りますが

今まで通りゆっくり丁寧に進めましょう。

ha2015.3

そして4月6日のレッスンで削りの仕上げも終わり

ラッカーで保護して完成しました。

完成した額縁は atelier LAPIS のホームページ

「生徒作品」からぜひご覧ください。

TAさんのグラッフィート額縁も合わせてどうぞ。

 

上でも書きましたとおり

Atelier LAPIS はひとくくりに「古典技法アトリエ」と申せど

各曜日教室によって その時の流行や特色も出ているようで

それぞれの曜日が気になるところです。

昨年11月に開催されたAtelier LAPISの展覧会で改めて思いました。

他の曜日の生徒さんの制作過程も興味津々です。

いつかAtelier LAPIS の全曜日の生徒さん講師が一同集まって

情報交換をしたりおしゃべりが出来る機会が持てれば

と思っています。

 

現在Atelier Lapis では火曜 金曜 土曜午後のコースで

それぞれ生徒さん募集中です。

ぜひご見学にいらしてください。

また下記のAtelier LAPISのホームページから

ブログや生徒さん作品のページもどうぞご覧下さい。

Atelier LAPIS

 

わたしが担当しております月曜コースは現在満席のため

新規の生徒さんは申し訳ありませんがお受けできません。

募集再開の折には 改めてお知らせさせていただきます。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

完売御免 デミタス コスモス 4月06日

 

友人に「好きそうな展覧会でしたよー」との話を聞いて

閉会3日前に駆け込みで観てきました。

三井記念美術館で開催された「デミタス コスモス」展です。

その名の通りデミタスカップを集めた展覧会ですが

demitasu2

それはそれはもう 身悶えするほど楽しい展覧会でした。

西洋の装飾美術 そして小さいものにぎっしり詰まった世界。

紹介してくれた友人に感謝です。

 

ドットの並べ方や配色 ハンドルの形

デザインやモチーフなど 額縁や小箱の装飾の

参考になりそうな作品も沢山ありました。

demitasu

300点以上のカップをじっくり2時間かけて見学して

心身ともに興奮と疲労でぐったり・・・

最後の方のアール・ヌーボー時代の作品などは

「あとで図録でゆっくり見れば良い」と流し観したのですが

なんと! 図録は好評につき完売ですと!

 

ああなんたること。

図録を夜寝る前にもう一度見てニヤニヤして

乙女チック(死語)な夢が見られるかと思っていたのに。

こんなに「手に入らなくてがっかり」したのも久しぶりなのでした。

 

図録は古書店で探して きっと手に入れようと思います。

 

 

ヒヤ子の4月3日 4月03日

 

東京の桜はもうそろそろお終い。

今日の風で散ってしまうでしょう。

あっという間に満開になり

あっという間に散ってしまいました。

sakura2015 (1)

春を楽しませてくれた 我が家のヒヤシンスのヒヤ子も

球根がカサカサになるまで頑張って第2花を咲かせてくれましたが

それももうしぼんで 葉ばかりになりました。

今日 庭の日当たりの良い暖かな場所に移しました。

 

土を掘って柔らかくして そっと瓶から出します。

sakura2015 (2)

そして土の布団をふんわりかけて

水をしっかり与えて。

sakura2015 (3)

綺麗な花を二つも咲かせてくれてありがとう。

ここまで頑張ってくれたヒヤ子の球根にはもう

ほとんどエネルギーは残っていません。

球根が生き延びてくれるか ヒヤ子次第ですが

どうかまた来年 花は咲かずともせめて葉だけでも

出てきてくれたら と期待を込めて。

もうすこし がんばれヒヤ子。

 

 

ひとりきりで またもや 4月02日

 

テンペラで群像の模写をするとき

以前は周囲をただトリミングして部分模写をしましたが

今はその中のひとり-あるいは一匹-をぬきだして

そして周囲は消してしまって

描くことが多くなりました。

「ひとりきりで」2013年11月28日

「ひとりきりで ふたたび」2013年12月02日

 

ことしの干支 ひつじのテンペラ模写をしました。

オリジナルは森の中 家族とすごす子羊です。

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シャルル=エミール・ジャック 《森の中の羊の群れ》 Charles-Émile JACQUE, The Flock in a Forest 1860頃           油彩・板 49.0 × 118.0cm 山梨県立美術館所蔵

模写はまたもやひとりきりで。

寂しいので赤い花はオリジナルのままにしました。

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この子羊は母羊に甘えるように描かれていたので

やはりお母さんと一緒に描けばよかったかな・・・

と今更ながら思っています。