diario
有元利夫 絵を描く楽しさ 3月30日
先日ご紹介しました小川美術館でに有元利夫展ですが
作品鑑賞はもちろんのこと 額縁鑑賞もとても楽しい展覧会でした。
古典技法の水押しでほどこされた金箔
そしてかなり強めに表現された古色(アンティーク風仕上げ)は
機会があればぜひご覧頂きたいのです。
有元作品に付けられている額縁には 有元自身が作ったものもあり
まさに額縁と作品が一体となって理想の姿になっています。
「有元利夫 絵を描く楽しさ」という本をひさしぶりに開いたら
いくつか額縁の写真もみつけられました。
金箔の上にラフに絵具で模様を描いて
虫食いの穴を再現してみたものや
イタリアのカッセッタ額縁(箱型額縁)のようなスタイルも。
展覧会で見た限りでは 一番多かったのは上のような
赤または黄茶色のボーロに金箔を押して強い古色を付けたものでした。
有元の制作過程の紹介を読んでいると
キャンバスをわざとクシャクシャに折りたたんだり
画面を何度もこすって削って古い雰囲気を出しているとか。
これだけ強い古色をつけた額縁ともしっくりなじむ理由は
「古さ」のバランスなのでしょう。
ご自宅の居間にはルドンや船越安武の作品といっしょに
自作の模写イコンや木彫 オリエンタルなオブジェなども並び
有元の好み 彼のイメージの源などを想像させられます。
彼がわたしの作った額縁を見たら なんて言っただろう
気に入ってくれたでしょうか?
それとも苦笑いされるでしょうか?
「有元利夫 絵を描く楽しさ」
著者 有元利夫 有元容子 山崎省三
株式会社新潮社
2006年9月23日発行