diario
ブローチをめぐる物語 12月29日
とうとうわたしのところに来ることになった小さなブローチです。
骨董市でいつも覗くお店のガラスケースの中
「そういえば前も その前に来たときにもこのブローチがあったな」
気になって手に取らせてもらって でも結局ケースに戻していました。
そして先日3度目に手に取って もうケースに戻すのはやめました。
15mm×25mmの小さな金属板に描かれた風景は 古城でしょうか。
思い出の場所をいつも身に着けておきたくて注文したもの?
それとも旅のスケッチを記念にブローチに描きなおしてみた?
裏を見ると手作り感があってあまり丈夫ではなさそうです。
後年(割と最近?)に取り付けられたらしい安全鎖もありますから
きっと前の持ち主も大切にしていたのです。
わたしがこのブローチを身に着けることはありません。
絵具が弱っているし 万が一落としたら悲しいですから。
そのかわり小箱にしまってたまに出しては眺めましょう。
あるいは とても小さな額縁を作って納めても良いかもしれません。
このブローチをめぐって なにか物語は作れないかな?
もし可能ならば たとえば好きな作家数人にブローチを預けて
短編を書いてもらって それを1冊にまとめてみたり。
辻邦夫や江國香織さん 海外ならピルチャー
あるいは浅田次郎さんはどうだろう?
浅田さんなら すでに亡くなった持ち主も登場するような
すこし怖くて でも心が温かくなるようなお話を作ってくれるのでは?
わたしだけのブローチの物語。
想像して楽しんでいます。
KANESEI の diario 2014年は今日でおしまいです。
一年間お付き合いいただきありがとうございました。
また 様々な仕事でお世話になりました皆さま
誠にありがとうございました。
来年もより充実した一年にするよう精進いたします。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
良いお年をお迎えくださいませ。
Buon Natale 2014 12月25日
羊「メリークリスマス くまさん!」
熊「おや メリークリスマス ひつじさん!来年はあなたが主役の一年ですね」
羊「ええ なにせ12年に1度ですからね 張りきっています」
熊「ひつじ年があるのにくま年が無いのはふしぎですなぁ」
羊「そうですなぁ 再来年はくま年にしましょう!」
熊「それが良いでしょう!では体に気を付けて 良いお年をお迎えください」
羊「ありがとうございます くまさんも良いお年を!」
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Corridoio del Doge- 12月22日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -総督の回廊-
サン・マルコ広場にあるヴェネチア総督の宮殿 ドゥカーレ宮殿。
夕方の入場締め切り近くの時間になって入ってみることにしました。
現在の入り口は”porta della carta”(布告門))ではなく 海側にあります。
見上げると午後の光が当たる海側の壁に ゴシック風装飾の影が出来ていました。
並ぶクローバーがかわいい。
入ってすぐの中庭ではぐるり周囲を白で囲まれます。
サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会同様に白く軽やかな装飾。
4階建ての壁が迫っていても 花輪やリボン模様
そして広い開口部で威圧感は少ない印象です。
そして尖頭アーチをみると
ああここはフィレンツェからは遠い場所 ヴェネチアなのだと感じます。
そして続く回廊。
さまざまな時代 その時の権力者たちが密談をしながら
あるいは議論を声高に繰りひろげながら歩いたであろう場所は
熱気はすでに遠く 観光客の姿もまばらになっていました。
ここがヨーロッパ世界を動かす中枢のひとつだった時代があったことは確かだけれど・・・。
気の早いイタリア人 職員はすでに帰りたくてソワソワしています。
半分追い出されるようにして宮殿を後にしたら
外はもうすっかり黄昏時で このイタリア旅行最後の夜が始まったのでした。
atelier LAPIS(アトリエ ラピス)の様子から 2014年12月no.2 12月18日
レッスンに毎週ご参加くださるTさんの作品が
またひとつ完成しました。
とは言っても 製作の作業ほとんどをご自宅でなさって
atelier LASPISではすこしのご相談と 最後の仕上げをしただけ。
もうすでに石膏も箔も作業手順はしっかりマスターされています。
あとはとにかく沢山作って慣れるのみ!です。
ワックスと粉(ニセモノホコリ)で最後の加工をしています。
ワックスを付けては拭き 粉をはたいてはまた拭き・・・
徐々に凹凸に趣が加わります。
完成した額縁 タイトルは「シンフォニー」に決まりました。
盛り上げ装飾が楽譜の音符みたいだから・・・とのこと。
小さいながらも濃密な 迫力のある額縁が出来上がりました。
Tさん また素敵な額縁を作って下さりありがとうございました。
また次の額縁の完成を楽しみにしております。
さぁ わたしも負けていられません!
心と頭をオープンにして アイディアを練ろうと思います。
ナミナミヒビヒビ 12月15日
新しく完成した額縁には マイブーム(死語!でも使ってしまう)の
ひび割れとレリーフをいれています。
タイトルのナミナミヒビヒビ(波々罅々)模様です。
Atelier LAPISの展覧会で発表した 鏡入り額縁の制作で試した技法を
いよいよ本番で使いました。
内側には木地を細く見えるように入れてアクセントにしています。
LAPISの鏡入り額縁のときは艶消し仕上げにして
レリーフはもっと複雑で浅いものでしたが
今回はレリーフ模様をずっとシンプルにして強調し
艶あり仕上げにしました。
なんだか陥入の入った白薩摩の肌のようになりました。
箔を使ったときも艶消し仕上げがほとんどで
艶あり仕上げはあまり作ることがありませんでしたが
艶があるとより明るく生き生きとした雰囲気に。
これから艶あり仕上げの額縁制作の機会も増えそうです。
この額縁には遊ぶ子供のドローイングを納めます。
「works」内「modern」にこちらの額縁をアップいたしました。
どうぞご覧下さい。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Extra 17 Stesso posto- 12月11日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -番外17 同じ場所-
いつどこで手に入れたか記憶もおぼろな古い絵葉書に
サン・マルコ広場の一角の風景があります。
明るい色使いが美しく なによりイタリアの風景で嬉しくて
しばらく部屋に飾っていました。
今回の旅でも幾度となくサン・マルコ広場を通り
絵葉書の場所 “porta della carta”(布告門)で一枚写真をぱちり。
光の加減も角度も絵葉書と違うけれど
空の色は近かったかな と思っています。
サン・マルコ教会とドゥカーレ宮殿(右側のピンクと白の建物。
ヴェネツィア共和国の総督邸兼政庁でした。)の
間にあるこの布告門は かつてドゥカーレ宮殿の正面入り口だったとか。
マルコ・ポーロもティントレットも そしてティツィアーノも通ったのでしょうか。
威風堂々とした彼らが通った様子を想像します。
世が世ならわたしのような東方の一国民が通ることなどできなかった門。
それを考えると不思議でもあり感慨深くもあり・・・。
「第20回 小さい小さい絵展」は昨日10日をもって終わりました。
お忙しい時期にお出かけくださり またお買い上げを頂き
誠にありがとうございました。
atelier LAPIS(アトリエ ラピス)の様子から 2014年12月 12月08日
今日ご紹介するMさんの額縁は
すでに9月に完成させていらしたのですが
すっかりご紹介がおそくなってしまいました。
額縁制作ははじめて 自分にできるか心配 と仰って
真夏にご入会なさったMさんですが
毎週の努力の甲斐あって 立派な額縁が完成しました。
Mさん 素敵な額縁を作って下さりありがとうございました。
木地にボローニャ石膏 濃茶色に着色
細枠に純金箔水押し装飾 植物文様はミッショーネで純金箔装飾
ワックスによるアンティーク仕上げになっています。
特にベースに濃い茶色を選んだのがこの額縁のポイント。
黒だと正統クラシックな雰囲気になりますが
茶色だとすこし優しい感じ そして現代風にも感じます。
完成間近 まだピカピカの出来立ての額縁をアンティーク風にするために
凹みを作る作業をしました。
丹精込めて作った額縁に傷をつけるなんて・・・と最初は恐々のMさんが
徐々に躊躇いが消えて真剣に傷を入れていく姿を見ていて
「むむ 良い度胸・・・」と内心とても感心してしまいました。
この凹みを作る作業に大切なのは 躊躇いを無くすこと。
最初はなかなか難しいことなのです。
そして打った跡の凹みにも それぞれの人柄が表れるのが
不思議でもあり 面白いところです。
11月に開かれました atelier LAPIS の展覧会に出品した
キャンデラブラム装飾額縁を
「works」内「classical」にアップいたしました。
どうぞご覧ください。
定番と新作と 12月04日
KANESEIでは ご注文いただいた時にお客様とご相談し
新作の額縁を合わせることもあれば定番デザインから選ぶことも。
そして「以前購入したけれど気に入ったのでもうひとつ」と
嬉しいご注文をいただくこともあります。
frido のシリーズのデザインも繰り返し作っているひとつです。
新作をつくるワクワクとした楽しさと
定番をつくる安心感とうれしさと
それぞれ製作の幸せがあります。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Il labirinto nascosto del monastero- 12月01日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -修道院の隠された迷路-
白くて華麗なサン・ジョルジョ・マッジョーレ教会には鐘楼があって
観光客もエレベーターで昇る事ができます。
サン・マルコ広場にある鐘楼にも昇れますが
サン・ジョルジョ・マッジョーレの鐘楼はなにせ空いていますから
地上の喧騒やさまざまな匂いなどからすこし距離を置いて
心静かに(観光なのに矛盾した気持ちではありますが)
景色をながめて思索にふけるにはとても適しています。
カソリックの教会と迷路というとシャルトルのノートル・ダム大聖堂のものが有名ですが
このサン・ジョルジョ・マッジョーレ教会の迷路もシャルトル同様に
瞑想しながら歩き 巡礼を模すために作られているのかもしれません。
シャルトルは聖堂内にあるのに対し こちらは開放的な庭に作られているので
瞑想する気持ち 神様に対する心持ちなど 違いがあるのでしょうか。
それとも環境に左右されるのは修行が足りない証なのでしょうか。
いわゆる遊びの迷路-行き止まりがあったりするような-ではなくて
神様に近づくために歩く迷路は とても美しいものでした。