diario
最後の最後に 10月30日
秋はいつも家で 暇を見つけてはひとりガサゴソと
黄金背景テンペラ画の模写をしています。
手順は古典技法の額縁制作とほぼ同じです。
思えば・・・大学の恩師にテンペラを勧められて
今のわたしがあるのです。
さて手順ですが 黄金背景テンペラ画は
ボローニャ石膏地の板を準備します。
こちらは古典技法額縁の制作と同じですので今日は割愛。
磨いて整えた石膏地に下描きをします。
普通でしたら下描きを終えたらさっそく描写を始めますが
黄金背景テンペラ画の場合 描写の前に箔の作業がつづきます。
下の写真は箔を貼り終えたところ。
絵具で描く部分(箔を貼らない部分)をマスキングしてあります。
この箔を磨いて天使の翼や後輪を入れて・・・
そうして最後の最後 ようやく描写のはじまりはじまり。
長い道のりでした。
酢をひと匙入れた卵黄で 顔料を溶いて描きます。
防腐剤と防かび剤入りのテンペラ用ニスを塗って完成。
黄金背景テンペラ画は絵画と工芸の間のような感じもあります。
ベニヤ板と化学合成の顔料を別にすれば
手順も材料もほぼすべて ルネッサンスの頃から変わりません。
600年前の職人と同じように 2014年のわたしも。