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La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Extra 14 Batman misterioso- 7月31日

 

イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -番外14 謎のバットマン-

 

上を見ても下を見ても 右を見ても左を見ても

人影はどこにも見えないリド島の広い浜辺。

ところが

長い長い海岸線の遠くから ふしぎな影が見えました。

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何者でしょうか?

わたしたちに向けて小さな声で呼びかけているようです。

あやしい。

すわ小心者のバットマンか?!

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cachemire cachemire・・・」

 

つぶやく声は カシミール カシミール・・・

カシミアストール売りのおじさんでした。

にこにこと恥ずかしそうな笑顔だったのに写真に写っておらず残念。

遠くでストールを広げて立ちつくし(バットマンのポーズ)

近づいてくる様子もありません。

 

わたしたちが

「Non,Grazie!」けっこうです!と叫ぶと

(なにせ遠いので叫ばないと波音に消されてしまう)

すこししょんぼりと 恥ずかしそうな笑顔のまま

カシミールバットマンは戻っていきました。

 

いやはや驚きました。

どこかでわたしたちを見かけたから登場したのでしょうけれど

一体どこから現れたのか そしてどこへ戻ったのか見当もつきません。

帰る後姿を見送りましたが 砂浜の先 点のようになっても

結局どこへ行きつくのか分からず終い。

 

イタリアにはごく稀に

異次元的な場面に遭遇します。

 

 

 

額縁の本 「PICTURE FRAMING TECHNIQUES」 7月28日

 

ひさしぶりに額縁の本のご紹介です。

先日いただいたのはイギリスの額縁についての本。

Robert Cunning という方の著書ですが

内容はとても多岐にわたっています。

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“テクニック”と題にある通り 木枠の組み方

使う道具 コツ 額縁の部分名称等がありますが

マットテクニックや様々な装飾方法 修復から展示方法まで

ありとあらゆることが解説されています!

外国の額縁制作の本を見ていつも思うことですが

1冊に額縁に関して必要な基礎知識がほぼすべて網羅されていて

それさえ読めばひとまず額縁管理が出来そう・・・なのです。

この本を日本語に訳したらどうだろう と思いつつも

やっぱり日本とヨーロッパでは額縁の歴史も需要も違うからなぁ・・・

などと考えてしまいます。

 

さて なかでも興味深かったのは

マットの装飾に使うマーブル紙の作り方の紹介

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ふるいレシピでの型取りの方法(修復)

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そして楕円形の額縁木地の作り方。

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著者の Cunning氏は 額縁の制作なら

古典技法から新しい材料を使ったものまで

付随するマットのデザイン・制作

箔の上からの彩色や古色の入れ方

べっこうや突板 卵の殻(!)など特殊な材料の使い方

楕円や祭壇型 観音開きなど変わった形の木枠の作り方

そして展示方法の提案から修復まで!

額縁のエキスパート 額縁の生き字引のような方です。

もう20年以上前の本ですが ぎっしり詰まった内容と(英語!)豊富な写真で

いつまでも見ていて飽きず 制作意欲を湧かせてくれる本です。

 

データ : 「The encyclopedia of PICTURE FRAMING TECHNIQUES」

      ROBERT CUNNING

      Quart Publishing plc

      1993年 第1刷発行

 

 

 

 

 

雲の向こうにいらっしゃる 7月24日

 

広島の瀬戸田を出た後 島根県の出雲をたずねました。

もちろん出雲大社をお参りするために。

出雲と言えば 式年遷宮やご結婚で話題も豊富ですが

予想に反してお祭りムードもなく とても落ち着いた場所でした。

 

出雲大社の正面からの姿といえば 写真等でみかけるような

有名なおおきなしめ縄が右側にかかる姿ですけれど

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ご存知のように大国主大神はお社の中 向かって左側を向いて

鎮座されているとか。

まずはしめ縄のあるお社の正面でお参りをしてから

左に回って大国主大神の正面から再度お参りをします。

こちらは人も少なく 背後すぐに森があって

まさに神様の眼光がお社の壁を突き抜けてくるような

気持ちが引き締まる場所でした。

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お参りの帰り道 振り返ってみるともうお社は森の中。

そして山の上には雲がひたひたと降りてきていていました。

あの雲の中に神様がいらっしゃったのまもしれません。

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式年遷宮の年の「蘇」御守

あたらしいお社が蘇ったとき。

よみがえり・・・わたしの気持ちも。

色々と考えさせられます。

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La nostalia in Italia 2011 Venezia -Viaggio “La più antica Venezia”3- 7月21日

 

イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -最古ツアー その3-

 

今回のヴェネチアの旅にサブタイトル「最古ツアー」を銘打ったからには

「最古の映画祭」の舞台となるリド島へ行かずばなりますまい。

最古のホテルに泊まり 最古のカフェでお茶をして

最古ツアークライマックスのリド島訪問の朝です。

 

通勤ラッシュにもまれながら船バスで向かいました。

朝霧の向こうにはサン・ジョルジョ・マッジョーレ島の鐘楼と飛行機雲。

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そうこうするうちに どんどん霧が深くなります。

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上の写真 見づらいですが霧の中で沖に浮かぶ杭があります。

これを目印に海上に道があって 船は進みます。

 

さて「ヴェネチア」「リド島」「映画」ときたらもう

ルキノ・ヴィスコンティ「ヴェニスに死す」しかありません。

アッシェンバッハとタジオの出会いの舞台となったホテル・デ・バンです。

もう40年以上昔の映画ですが タジオの象徴的な美しさと

死ぬ間際のアッシェンバッハの剥げ落ちた化粧顔の悲しさは

一度見たら印象に残って 忘れられません。

ふたりの出会いとなったホテル・デ・バンで朝のお茶をしましょう!

(さすがに宿泊は高根の花ですので。)

 

・・・と思いきや なんと改装中でした。

むなしく鉄格子を揺らしてみても 人っ子一人(作業の人さえ)いません。

リド島でのお楽しみがひとつ無くなってしまって これは誤算でした。

なんということでしょう。 茫然と浜辺を散歩します。

遠くから憧れの(でも改装中の)ホテル・デ・バンを撮影。

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さて・・・シーズン・オフのリド島はとにかく人が少なくて

海風もとても冷たくて あまりの静謐さに茫然とします。

まるで「大昔の人の息吹がわずかに残る遺跡」のような とでも言いましょうか。

人影のない広い広い浜辺を散歩しましょう。

 

波打ち際は貝殻ばかり。

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裸足であるいたら痛そう。

 

それにしても前後左右もちろん上下 人影がありません。

こうした「荒涼とした冬の海」はわたしの大好きなもののひとつです。

コートの襟を立ててポケットに手を入れて 考え事をする。

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リド島の旅つづきます。

 

 

問題は つまり音 7月17日

 

電動工具はいまや作業にかかせません。

木地を作る時 テンペラ画の支持体の板を沢山作る時

活躍してくれるのが丸ノコです。

円盤状の刃が回転して 厚さも角度も思いのままに切れる

なんとも頼りになる道具。

手持ち型 テーブル固定型 スライド式 様々です。

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ですが どうしてもどうしても・・・慣れません。

 

なぜあんな大きな音がするのでしょうか?!

電源を入れたとたん ギャイイイイン!と耳をつんざく音。

木材に刃を下したとたん ガガガガガ!と響き渡る音。

同時に心臓もガガガガと震えます。

 

問題はつまり 音なのですよ。

この恐怖心を克服するために 耳覆いの購入を検討中。

大げさですか。

ぶりっこでしょうか。(死語!)

快適に作業をするためには工夫しませんとね。

 

 

 

我が家の瀬戸田レモン 7月14日

 

広島県の瀬戸内海の島 生口島の瀬戸田町には母方の古い家があります。

いまはだれも住んでおらず 横浜に住む伯母が手入れをしてくれています。

6月に法事があり ひさしぶりに瀬戸田の家をたずねました。

 

家の前には夏みかんとレモンの畑があります。

濃い緑の木に鮮やかな黄色のレモンが沢山実るすがたは

本当に美しくて そのぶん伯母の手入れの苦労がしのばれます・・・。

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毎年この時期になると伯母が摘んでくれた夏みかんとレモンが沢山届きますが

今年は自分で収穫することができました。

畑に近づくともうほんのりと 柑橘系のさわやかな香りが漂います。

レモンの木は大きな棘が鋭く そしてレモンの森には蚊が沢山。

真夏のような陽気の中 長袖にゴム手袋はかかせません。

そして更に注意はカタツムリ!

突然木の上から落ちてきて驚かされるのには参りました。

(伯母曰く「カタツムリごときに驚いちゃ仕事にならない もう慣れちゃった」)

カタツムリが住むのは無農薬の証ですね。

 

広島の町育ちの伯母も浜っこの従姉もここではプロの畑人。

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カタツムリ落下攻撃(?)にヒャーヒャー言うわたしを横目に

レモンと夏みかんがどんどん収穫されていきます。

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わたしはエプロンに入るだけ採って 早々にリタイアしてしまいました。

 

自分で採ったレモンは それだけでも特別な気持ちがします。

採っただけ ですけれどね・・・。

せっかくなので美しい枝葉も一緒に。

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高校時代の現代国語の教科書に載っていた

梶井基次郎の「檸檬」を思い出しました。

今にして思えば あの小説を読むには

16~18歳頃が適しているのかもしれませんね。

 

 

La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Colore verde azzurro- 7月10日

 

イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -青緑色-

 

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ヴェネチアの街 建物の壁は白が主でベージュやピンクなど明るい色

石畳の色もフィレンツェより白っぽい印象です。

そこに扉の茶色 ゴンドラの黒や赤 窓の日よけの緑など原色の強い色があり・・・

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でも今になって思い起こす色は 青緑色でした。

ヴェネチアの水路の色が不思議な青緑色なのです。

 

冬でも強い日差しが当たる水路は 思ったよりずっと透明です。

どこまでも 白の混じった青緑色のグラデーション。

日本の海(太平洋)で感じる「潮のにおい」はほとんどありません。

これがアドリア海の特徴なのかはわかりません。

とても美しい青緑色でした。

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ちいさな看板を 7月07日

 

KANESEI は住宅街にある普通の住宅の片隅にありますので

材料等を配送してもらうときに 宛先がKANESEIのみだと

配送業者さんが迷ってしまうことが何度かありました。

 

で・・・銅版を裏から刻印して名刺大の看板(表札)を作ってみました。

銅版を酸化させてみたり傷をつけてみたり 相変わらずのボロ加工です。

ウレタンニスを厚くかけたので風雪に耐えてくれると期待。

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でも本当は こんな工作で遊んでいる場合ではないのです。

本業の額縁制作をご紹介せねば本末転倒。

旅ブログになってしまわないようにせねばなりませんね・・・。

 

 

 

atelier LAPIS(アトリエ ラピス)の様子から 2014年6月 7月03日

 

市が尾の古典技法額縁制作と卵黄テンペラの教室

atelier du LAPIS では 生徒さんそれぞれがご希望のサイズとデザインの

額縁を木地から作ったり お好きな画家の作品を模写したりと

合同個人レッスンのようなアトリエになっています。

6月に完成した生徒さんの作品をご紹介いたします。

 

まずはTさんの作品から。

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木地にボローニャ石膏 四隅に盛上げ装飾 中央部に磨り出し装飾

赤色ボーロに純金箔の装飾。

仕上げも最後まで古典技法で!とのことでシェラックニス仕上げです。

このニスはatelier du LAPIS主催の筒井先生お手製の

「本物のシェラックニス」を特別に使わせていただきました。

沢山の技法を習得したいとのことで 側面にもミッショーネ

(箔用の糊)を使った装飾を入れています。

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とても豪華で男性らしい額縁が完成しました。

 

そしてIさんの額縁とビーズ作品。

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月に一度のレッスンで根気よく丁寧に制作された額縁です。

木地にボローニャ石膏 四隅に石膏盛り上げ装飾

内側 ライナーと四隅に純金箔装飾。黒に彩色。

ワックスによるアンティーク仕上げです。

ビーズの作品はイタリアのラヴェンナにあるサン・ヴィターレ教会の

モザイク壁画をモチーフにされたとのこと。

このビーズの輝きは写真で見るより実物のほうが

ずっと深みがあり 美しさも倍増でした。

TさんIさん お疲れ様でした!

素晴らしい作品を作ってくださってありがとうございます。

 

今年11月初旬に銀座で作品展を開催する予定です。

お二人の作品もほかの生徒さん作品と一緒に出品予定(恐らく!)ですので

銀座にお出かけの際にはお立ち寄り頂けるよう

またご案内申し上げます。