diario
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Bel uomini 2- 4月28日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -美しい男たち2-
夕方 vaporetto(船バス)に乗って夕食のレストランへの移動中に
すっきりとした一団が見えると思ったら
若い水兵さんたちでした。
20代前半でしょうか 刈り上げたうなじはまだ少年の面影が残る彼ら
真っ白な帽子が明かりに照らされて眩しく輝いていました。
わたしが留学していた1996年から1999年には
まだ徴兵制のあったイタリアですが
2000年に徴兵は廃止され 職業軍人のみの国となりました。
留学当時 徴兵に行っている恋人と会うために
ボローニャ(軍の施設があったのでしょう)に週末ごと
通っていた女の子がいたことを思い出していました。
懐かしい記憶。
彼らはいま 素敵な家庭を築いているかもしれません。
まだまだ元気 4月24日
鉛筆より細いくらいの軸に取りつけられたメノウ石は
削りたての鉛筆のようにピシリと尖っていて
その繊細な先端で 水押しで貼った箔の上に
細かい模様を入れる事ができた 大切な道具です。
先日つい手を滑らせて床に落とし
このメノウ棒の命 先端を壊してしまい
3ミリちかく短くなってしまいました。
どうしよう!
さて・・・新しいものを買いましょうか?
いえいえ 少し悩みましたが研ぎなおしてみることにしました。
彫刻刀用の荒砥石で角を落として仕上げ用の砥石で磨き
さらに耐水サンドペーパーの5000番で仕上げました。
最初はどうなることかと思いましたが
数時間の作業で先端を整えることができました。
メノウ石を研ぐのは初めてでしたが
貴石の中でも比較的柔らかいとされるメノウなので
心配したより難しくはありませんでした。
ちょっと不恰好ですが 必要な「とんがり」は
無事に復活させることができました。
メノウ石の絶妙な硬度が金を磨くにも 硬すぎず柔らかすぎず
「これが一番」という相性を生み出しているのでしょう。
箔の道具と並んだ姿を見て一安心!
メノウ棒よ
まだまだ元気に 引き続きよろしくお願いいたします。
古い板絵と古い言葉 4月21日
先日 描き終わったテンペラ画模写の天使像を見た人が
「板がひわっている」と言いました。
ひわっている? 初めて聞いた言葉でした。
広島弁で「反っている」「歪んでいる」という意味だとか。
おそらく「罅る」「干割る」という古い言葉を元にしているようです。
たしかにこの板絵の支持体板は「ひわって」います。
こうならないためには 板の両面に同量のニカワと石膏を塗る
または湿度を与えて重しをするなど工夫が必要です。
美術館などでたまに古い板絵を見ると 反ったり歪んだ板絵があります。
その反りがいかにも古い感じをかもしだしていて
「ひわり感」もまた悪くないと思っていました。
(描いた画家また所蔵先の美術館にとっては不本意かもしれませんが。)
それでこの板の反りもそのままにしていたのでした。
でも・・・「ひわっている板絵」はやはり
気になって落ち着かない人もまたいるのですね。
今日は新しい言葉を知って そして
“ひわり感の好みもそれぞれ” も知りました。
atelier LAPIS(アトリエ ラピス)の様子から 4月17日
東急田園都市線の市が尾駅最寄にあるatelier du LAPIS(アトリエ ラピス)で
毎週月曜日の午後 講師をするようになって4年目になりました。
こちらでは古典技法を使った額縁の制作と
卵黄メディウムを使ったテンペラ画模写の授業を行っています。
atelier du LAPIS http://atelier-lapis.main.jp/
日当たりのよい明るい教室で
生徒さんそれぞれがご希望の作業を行います。
ひとつの部屋に数人の生徒さんがいらっしゃいますが
生徒さんひとりひとり 当然ながら目標も目的も
そして作業ペースや頻度も違いますので
合同の個人レッスン・・・のような感じとでも言いましょうか。
なので講師のわたしも毎月曜日に新鮮な気持ちになります。
下の写真はボッティチェッリの「マニフィカトの聖母」から
部分模写をしておられる生徒さんです。
難しい絵ですがコツコツと根気よく続けて
少しずつ陰影も入って来ました。
これから白いベールや金の装飾を入れていきます。
完成したらこの模写作品を納める額縁を作りましょう!
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Viaggio “La più antica Venezia”2- 4月14日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -最古ツアー その2-
ヴェネチアの旅のサブタイトル「最古ツアー」ですが
まずはヴェネチア最古のホテルに泊まること。
そしてヴェネチア最古のカフェに行くこと。
1720年創業の Caffè Florian です。
1720年と言えば日本は江戸時代で
赤穂浪士の討ち入りから18年が過ぎたころ。
ヨーロッパではバロック音楽 バッハが活躍し
17年後にはトスカーナ大公メディチ家が断絶する・・・という時代。
そのころから今も同じ場所にある老舗カフェです。
Caffè Florian はサンマルコ広場にある大変美しい店舗です。
天気の良い初夏から晩夏なら日中でも夜でもテラス席に座って
白ワインやカフェラテを注文すれば
「これぞヴェネチア!」の気分を満喫できるはずです。
わたし達が訪れた時は肌寒い季節だったからか
はたまた acqua alta (満潮時の水位が高く浸水する)の時期だったからか
広場にテーブル席が出ていませんでした。
広場を突っ切って回廊の中へ行きましょう。
目指すカフェが見えてきました。
ちなみに上の写真の柱の右側 3人の男性は
アル・カポネのファミリーではありません・・・。
カフェ・フローリアンのカメリエーレ(給仕人)の男性たちです。
さて わたし達は美しい内装を見たかったので迷わず店内の席へ。
カウンターのあるエントランスを過ぎて いくつか部屋が続きます。
案内されたのはイメージしていた通りの席でした。
真っ赤なソファ ヴェネチア様式の背もたれが広く開いた椅子
うす暗い店内を照らす灯りは鏡に反射しています。
壁に描かれた絵はガラスで守られていますが
そこにも反射したヴェネチアングラスのシャンデリアが
キラキラと雰囲気を盛り上げてくれます。
花や女性のモチーフ 明るい色使い(部屋は暗いですが)は
宿泊したホテルの装飾とも近く感じます。
http://www.kanesei.net/2013/11/04.html
お願いしたのはティラミスとコーヒー。
美しい内装を楽しみつつ のんびりと座っていれば
カメリエーレがさっそうと熱々のコーヒーを注いでくれ
“Prego,madame…” なんて言われて 気分はすっかり18世紀のマダムです。
この Caffè Florian のカメリエーレは皆さん燕尾服姿でした。
華奢な若者ではなくて 50~70代くらいの男性がほとんど
(70代と思しきカメリエーレ氏のきれいな白髪と優しい笑顔が印象的)
またイタリア男性は胸板が厚いので燕尾服が大変お似合いでした。
きりりと伸びた背筋もばっちりです。
首から下げた老眼鏡もご愛嬌な
Caffè Florian の素敵なカメリエーレ氏でした。
頼もしい彼女 4月10日
KANESEIの額縁制作は 木地を組むところから始まります。
2m前後長さのある竿から希望の額縁サイズを採寸し
合わせて4本準備しますが全て角は45度にカットします。
額縁制作を始めたばかりのころ
一番最初に手に入れた自分の電動工具
自分の額縁を作るための 自分だけの工具。
上にある写真 マキタの卓上丸ノコです。
その後 足つきテーブルソーもスライド丸ノコも
作業部屋の仲間に入りましたし
額縁制作に特化した45度切断専用の機械も販売されていますが
(この機械があれば 精度は上がるし身心楽になりそうですが
KANESEIの規模では購入は先の計画です。)
気心知れた・・・と言いますか お互いのクセを知っている
この卓上丸ノコに いまだにお世話になっています。
頼もしい彼女 名付けてマキコさんです。
Macchina semplice è la migliore.
シンプルな機械がベストです いまのところ。
* 帝国ホテル本館地下1階にある「絵画堂」併設のウィンドウでの展示は
3月31日に無事終了いたしました。
お出かけ下さり またお買い上げいただきありがとうございました。
桜の花が終わってしまっても 4月07日
とうとう今年の桜も 東京では終わりを迎えています。
4月最初の週末 晴れたと思ったら雷が鳴ったりと
慌ただしいお天気で肌寒く お花見しつつもハラハラしました。
田町にある修復スタジオ Tokyo Conservation の昼休み
室長と主任と一緒に行った花見散歩では東京タワーと桜の姿。
土曜日曜も近所で友人とお弁当を持ち寄ってピクニック花見を楽しみ
家族とのんびり桜並木を散歩したりと 今年は桜を満喫できました。
桜の花の時期 木を近くで見るといつも不思議に思うこと。
桜の幹から直接・・・と言うのでしょうか
枝の先からではなく幹から咲いている花があるのですが
なぜあんな場所から突然花を出すのでしょうね?
そんな場所からいそいで咲かずに 枝まで登れば良いものを・・・
変な表現で恐縮ですが 伸びた鼻毛(失礼)のように思えてしまうのです。
頑張って幹から咲いている花を見るたび すこし笑ってしまいます。
きっと桜が知ったら怒るでしょうね。
来年もまた穏やかな気持ちで桜を楽しめますように。
桜が終わってしまっても ツツジやバラが待っていると思えば
寂しさもすこし減るようです。
紳士とつばめ 4月03日
型取りした小さなつばめを小箱に。
イメージは「ヨーロッパの紳士が
書斎で楽しむ秘密の小箱」です。
思い出の品をしまっておいて
仕事が終わった夜や休日の午後に眺めて
リラックスしたり記憶をたどったり。
そんなイメージです。
黒と金にしましたが…いかがでしょう?
「works」内「other」にこちらの小箱をアップいたしました。
どうぞご覧ください。