diario
大切にされた証 3月17日
いま修復でお預かりしている額縁は
クラシックで美しいデザインで
おそらくヨーロッパで作られたものと思われます。
今回修復ご依頼をくださったお客様の前の持ち主の時代に
修復された痕跡がありました。
角の装飾が欠けてしまって 少し色の違うクリーム状の材料で
おおまかに形を作っています。
もしかしたらプロの仕事ではないかもしれません。
だけど おそらくこの額縁と作品に愛情を持って
大切にしておられたであろう痕跡です。
それから時間か過ぎた今 その修理の部分がまた欠けて傷みが進みました。
今回の修復では この欠けた部分に(他の欠損部分にも)充填し
古い修復部分の造形も手を加え 他の既存部分を参考にして
元の形を再現します。
古い修復跡も取り除くことはせず この額縁の歴史とします。
いつかまた必ず 修復をするべき時が来ます。
時と共に重厚さや趣を増して くりかえし修復を施され
大切にされた痕跡を積み重ねていってほしいと思っています。