diario
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Città di labirinto- 12月30日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -迷路の街-
車も通らない細い路地が続く街 ヴェネチア。
地図を片手に小さな橋を渡ったりトンネルを潜ったり。
2回角を曲がるともう 自分が向いている方角を見失う
方向音痴のわたしの目印は この黄色い看板でした。
向かって左の看板「RIALTO」は 矢印の方角にリアルト橋がある知らせ。
リアルト橋はヴェネチアの中央付近にあって
地図でもすぐ見つかる観光名所であり 船バス停留所があり便利です。
迷っても とにかくこの橋に出ればリセットできます。
RIALTO のほかにも SAN MARCO (サンマルコ広場)への矢印もあります。
細い路地は空が細くて 昼間でも暗い場所もあって
ついふらふらと彷徨い入ってしまうのですが
(夜は安全とは言えないかもしれません。)
人気のない道から突然に賑やかな場所に突き当ったり
だんだん迷うことが楽しくなってきます。
上の写真「sotoportego」とは
建物の下を通り抜ける道のこと。
トンネルの天井 木組みはそのまま
建物の床を支えています。
ノックしたら聞こえそうですね。
フィレンツェにもあるのでしょうか・・・。
ヴェネチアならではの通りかもしれません。
こんなトンネルも迷路のワクワク感を盛り上げてくれます。
***
2013年最後のブログをご覧くださり
ありがとうございます。
額縁をお買い上げ下さった皆さま また
修復のご依頼を下さった皆さま
ありがとうございました。
そして様々な場面でご指導やご協力をいただき
ありがとうございました。
来年も誠実な仕事をめざす所存です。
どうぞ良いお年をお迎えください。
好きなのね 12月26日
田町にある修復スタジオ Tokyo Conservation で
額縁の修復を担当していますが
先日 ドイツの古い風景画に付けられていた
とても繊細な装飾の美しい額縁が持ち込まれました。
さっそく調査をして修復計画を立て 作業に入りました。
その作業中 スタジオの先輩がわたしを見てひとこと
「楽しそうだねぇ・・・!」
わたしは自覚していませんでしたが
おそらく嬉々として 目を爛々とさせていたのでしょう。
大変な作業でも楽しくて 充実感を得られる仕事。
好きなことを仕事に出来る人生。
わたしは本当にしあわせなのだと思っています。
Buon Natale! 12月25日
メリークリスマス!
今は一年の中でも忙しい時ですね。
ちょっと手を休めて あたたかいお茶と
ドイツのクリスマス菓子「シュトーレン」はいかがですか?
一息ついてから またそれぞれの時間に戻りましょう。
寒さが厳しくなりました。
どうぞご自愛ください!
大きい時と小さい時 12月23日
1000×803mmのF40号サイズ額縁を制作中。
広い美術館や画廊で見る40号と
いざ自分の作業部屋でみる40号では印象も違って
その大きさ・・・と言いますか 自分の作業部屋のサイズを
しみじみ実感しているところです。
制作の工程は 額縁が大きくても小さくても変わりませんが
大きければ大きいなりのコツがあります。
成功のカギを握るのは 石膏をいかに均一に美しく塗れるか でしょうか。
もちろんこの石膏の均一さは 小さい額縁でも必要ですが
大きければ増々 その大切さを実感します。
そして小さな額縁を作る楽しみと 大きな額縁を作る楽しみも
それぞれあります。
小さい額縁を作るときは「その世界に閉じこもる」ような
幼い頃に押し入れに入って襖を閉めた時のような気持ち
(分かり辛いたとえですが)一種の安心感があるのですが
大きな額縁は 制作する自分の腕を大きく動かす必要もあり
額縁は動かさず 自分が額縁の周囲をグルグル移動して作業して・・・
太陽(額縁)を中心に円軌道に乗る惑星になったような気分です。
大らかな気持ち とでも言いましょうか。
我ながら面白い気持ちの変化です。
銀の表現いろいろ 2 12月19日
先月ご覧いただいた「銀の表現いろいろ」でご紹介した額縁は
http://www.kanesei.net/2013/11/21.html
その後しっかり黒く酸化して
いつもの銀色とはちがう趣になりました。
墨色から金茶色のグラデーションのなかに
紫や青も見え隠れしています。
この色の変化は酸化の過程でできた偶然の結果。
その斑も面白さを加えてくれていると思っています。
これらの額縁は EMON PHOTO GALLERY で開催中の
飛田英夫写真展にて使って頂いております。
http://www.kanesei.net/2013/12/09.html
「works」内「modern」にこちらの額縁をアップいたしました。
どうぞご覧下さい。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Una mattina al Bar- 12月16日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -ある朝のバールで-
朝からお腹いっぱいに美味しい食事をとって
いよいよ街にくりだしても 通りには美味しそうな
エスプレッソコーヒーや焼き立てパンの香りが漂っていて
ついついカメラを向けてしまいます。
道が狭いヴェネチアでは 店先のすぐ傍をかすめて歩きます。
目に入ってくるのは これまた出来立ての美味しそうなパニーニ。
サラミを挟んだだけの一口サイズから
チーズやトマト ルッコラやハムを山盛り挟んだものまで。
お店によっては お願いするとホットサンドにもしてくれます。
寒い朝にアチチと頂くもよし
散策後のランチ用にいまから準備しておくもよし・・・。
ウィンドウの上にあるビニールに入ったS字のものは
ヴェネチア名物のお菓子 ブッソライ(bussolài)です。
小麦粉と卵と砂糖とバターだけ というシンプルレシピのクッキーだとか。
優しい味がするのでしょう。
もう一軒 通りがかったバールでは
ようやく朝の準備が終わったところ。
奥では常連さんらしき男性が エスプレッソコーヒーに
お砂糖を沢山入れて 朝のエネルギーチャージ中です。
この濃いコーヒーに沢山のお砂糖を入れたものは
慣れると癖になって 日に何度も飲みたくなるもの。
そしてカフェインと糖分で 身体もシャキッと元気になります。
ちなみにこの店主のオジサマ(赤いメガネがおしゃれ!)
開店早々からビール片手に接客中。
なんともおおらかで楽しそうなお店でした!
今年第一弾の 12月12日
田町にある修復スタジオ
Tokyo Conservation の室長はじめ 主任も
デザイン広報担当のTさんもSさんも みなさん酒豪揃い。
室長の一声で忘年会第一弾が開催されました。
額縁担当のわたしも参加させて頂いて
室長のボトルキープ泡盛の置いてある焼き鳥店へ。
名物の鶏一羽まるごとから揚げを囲んで
仕事の真面目な話から将来のこと それぞれの幼い頃の話や
芸能ゴシップまで・・・ワイワイと過ごしていたら
あっという間に終電間近になってしまった楽しい夜でした。
普段 自宅の一角にある作業部屋でひとり
もくもくと額縁を作っているのですが
定期的にこうして安心と信頼がある方々に囲まれて
作業をする場を持てるのは とても幸せであり また
わたしのKANESEIとしての額縁制作にも
技術面精神面 大きな影響を頂いていると思っています。
飛田英夫写真展「Le déclic」 12月09日
12月13日(金)から1月31日(水)まで
広尾にある EMON PHOTO GALLERY で行われる
飛田英夫さんの展覧会に KANESEI の額縁も
新作13点旧作5点 合計18点が登場いたします。
展覧会のタイトルは Le déclic
カメラのシャッターを押すこと そして
きっかけ などの意味があるそうです。
ちいさな写真の画面を覗き込めば
どこかで読んだ物語から切り取られた一場面のようだし
あるいは 遠い記憶に繋がる思い出の場面を突然思い出す。
生々しい現実のようであり 遠い夢の中の世界のようでもある。
たった一瞬を切り取ったような でも永遠に続く時間の中に
自分も一緒に閉じ込められたような
不思議な世界が広がっています。
そしてKANESEIの額縁18点は 小品ばかりですが
新旧ともに展示させていただくこともあり
ある意味集大成 または区切りとも言えるようです。
どうぞご高覧下さい。
EMON PHOTO GALLERY http://www.emoninc.com/
港区南麻布5-11-12,B1
平日11:00~19:00 土曜11:00~18:00
毎週日曜と12月27日~1月5日休廊
Atelier LAPIS 新規生徒さん募集のお知らせ 12月04日
横浜市の市が尾にある Atelier LAPIS
古典技法による額縁制作と黄金背景テンペラ画模写の教室で
新しい生徒さんを募集いたします。
月曜日の3時間 ご一緒に制作しませんか?
月に1回~4回 午前のコースは9時30分から12時30分まで
午後のコースは13時30分から16時30分まで
お好きな月曜日においで頂けます。(祝日は休講です。)
中世から続くヨーロッパの古典技法を使って
お好みのデザインの額縁を作ったり
ルネッサンス時代の作品を模写したり
生徒さんそれぞれ個人に合わせて対応します。
美術に関して経験の無い方にも安心してご参加頂けるようお手伝いします。
金箔や銀箔を水押しで仕上げる方法を習得されたい方もぜひどうぞ。
一度ご見学にいらしてください。
詳しく下記のAtelier LAPIS のホームページからお問い合わせください。
http://atelier-lapis.main.jp/?page_id=8
アトリエでお待ちしております。
ひとりきりで ふたたび 12月02日
わたしが敬愛する画僧フラ・アンジェリコの描いた
「聖母戴冠」からの部分模写をしました。
アンジェリコとほぼ同時代の画僧 フィリッポ・リッピの描いた
「聖母戴冠」からの部分模写を先日ご覧頂きましたが
同じ「聖母戴冠」をテーマにした作品 制作年代は
およそ10年だけの違い(アンジェリコが10年ほど早い)
そして制作した場所も おそらく両方ともフィレンツェ
(アンジェリコの「聖母戴冠」はフィレンツェ郊外の町
フィエーゾレにある教会の為に制作されました)
という共通点がいくつもあります。
もちろん違う画家が描いたのですから
色使いや描写の仕方が違うのは当然としても
ほぼ同時代の同じテンペラ画なのに
この2点の作品はずいぶんと違う雰囲気なので
比べてみるのも楽しいものです。
L’incoronazione della Vergine, 1434~1435 Fra angelico (Beato Angelico)
Musée du Louvre,Paris (画像はwikipedia より)
L’incoronazione della Vergine,1441~147 Fra Filippo Lippi
Galleria degli Uffizi,Firenze(画像はwikipedia より)
どちらも壇上でマリア様が冠を授けてられており
周りを賑やかに天使が囲んでいます。
下段には聖人に交じって 当時の聖職者や寄進者が
描かれているのも同じ。
でもアンジェリコの背景が天国の空を思わせる青なのに対して
リッピの背景は不思議な青の縞模様。
手前にはこちらを見据えるような眼差しの人物が数人います。
この違いは単純に リッピとアンジェリコの性格の違い?
方やアンジェリコはドメニコ会 リッピはカルミネ会と
宗派も違いますから テーマの解釈にも違いがあるかもしれないし
不勉強なわたしは制作や時代背景 宗派の違いによる変化等
詳しく分かりませんが・・・
アンジェリコは明るく透明
リッピは華やかでドラマチック
なんだか2人の人物像が想像できるような気がします。
フラ・アンジェリコの「聖母戴冠」から模写したのは
右下の羊を抱く聖アグネスです。
原作では 隣の車輪を持つ聖カタリナとなにやら楽しそうに
話していますが 模写はまたまたひとりきりで。
今回は額縁をすこしオリジナルを意識した雰囲気にしてみました。
「第19回 小さい小さい絵展」が 今年も開催されます。
こちらのフラ・アンジェリコから「聖アグネス」と
先日ご覧いただいたフィリッポ・リッピから緑の衣裳の貴婦人像
2点の模写 その他合計7点を出品した展示即売会です。
お近くにおいでの際は ぜひお立ち寄りください。
12月12日(木)~12月25日(水)
池袋 東武百貨店6F1番地 美術画廊内 絵画サロン
http://www.tobu-dept.jp/index.html