diario
ひとりきりで 11月28日
イタリア ルネッサンス期の画僧フィリッポ・リッピが
描いたテンペラ画「聖母戴冠」は フィレンツェにある
ウフィツィ美術館の至宝のひとつです。
わたしがフィレンツェ留学当時に住んでいたアパートの
すぐ近くにあるサンタンブロージョ教会の為に描かれたとか。
留学当時は毎日のように前を通っていた教会です。
それだけで何やらこの作品に対する愛着も増すようです。
L’incoronazione della Vergine,1441~147 Fra Filippo Lippi
Galleria degli Uffizi,Firenze(画像はwikipedia より)
この作品からテンペラで部分模写をしました。
中央下段右寄りの 緑色のドレスでうつむく女性です。
原作は群像ですが 模写はひとりきりで。
だれかモデルがいたのでしょうか。
背後で行われている聖母の戴冠式をよそに
心ここにあらず 物思いにふける女性。
謎めいています。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Colomba e gioventù- 11月25日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -鳩と青年-
ヴェネチアの中心 サン・マルコ広場は
有名なカフェや高級店が並ぶ美しい場所です。
海風から守られて ぽかぽか陽射しが気持ち良い広場では
鳩がくつろいでいます。
あたたかな空気を一杯にため込んで 丸々した愛らしい姿。
「ふくら雀」ならぬ「ふくら鳩」ですね。
そんな鳩と戯れる青年がいました。
沢山の鳩に囲まれているのに 楽しそうにはしゃぐでも無く
優しい木のように佇んでいる姿 そして安心した鳩の様子は
まるでずっと昔から鳩と心が通じているかのようです。
若い青年には珍しいような 穏やかで透明な空気が広がっていて
印象深い光景でした。
銀の表現いろいろ 11月21日
銀箔を使った額縁の仕上げには
ニスやラッカーでコートして酸化を防ぐ必要があります。
せっかくの銀の白い輝きも 数年後には錆びて
真っ黒!という結果になりますから。
でもあえて 銀を錆びさせた仕上げにすることもあります。
淡い錆びから真っ黒な錆びまで あるいは
酸化させる薬剤によっては 黄色味の錆び 青味の錆び
さまざまな変化を作ります。
淡い錆びが欲しい場合 薬剤の濃度や塗布する回数がむずかしく
なかなか思ったように仕上げるのが困難ですが
その分 上手く美しい錆びが出た時の趣は格別です。
今回は黄色味のある錆びが出る薬剤をつかって
真っ黒な強い錆びを作って仕上げる予定。
写真の右の額縁は 銀箔を貼って磨いたばかりで
まだ初々しい(?)銀の輝きがあります。
左の額縁には酸化させる薬剤をひと塗りしたところ。
さっそく酸化がはじまっています。
一晩待つと 翌朝には全体が黒のグラデーションになります。
人間の体が酸化するのは困りますが
酸化した銀の額縁は 偶然の色の変化や発色があって
作業中もワクワクします。
完成した額縁は 近々こちらでまたご紹介いたします。
手当たりしだいに 11月18日
わたしがいつも楽しみに寄る大きな書店には
洋書のアウトレットコーナーがあって
掘り出しものを見つけてはホクホク喜んでいます。
先日立ち寄ったところ フラ・アンジェリコの画集が!
それもおどろきの低価格!
最後の1冊でしたので すかさず抱きしめて
レジへ直行しました。
帰宅後にお茶を入れて さあゆっくり見ましょう・・・と
本を開いてみたら おや?なにやら見覚えのある内容。
・・・すでに持っている画集なのでした。
ショック!
言い訳をさせて頂けば「だって表紙が違うんだもの!」
右のマリア様の表紙本が今回買ってしまった2冊目。
左のイエス様の表紙本は2011年のイタリア旅行時に
フィレンツェのサン・マルコ美術館で買い求めました。
旅行中にスーツケースを開けるたびに イエス様と目が合って
内心ちょっとビクつきながら 画集の重さもなんのその
大切に持ち帰った思い出があります。
同じ著者でも 表紙が違うから内容も違うと思ったのです・・・。
でも内容も同じなのでした。
「本は手当たり次第に買わず 中をよく見るべし・・・」
という教訓を得ました ということにしておきます。
いやはやまったくもう。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Extra 11 Stile della miscela?- 11月14日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -番外11 混合様式?-
ヴェネチア最古のホテルは白を基調にした
ロココ風の装飾で 華やかで可愛らしい雰囲気です。
朝食の間から部屋へ帰る廊下でみつけた鏡入りの額縁。
金と黒と赤 色使いや迫力はバロック風
貝殻やC字のモチーフはロココ風でしょうか?
短手下部には白地に花を描いたプレートが入れられてあります。
これは・・・タイルなのかガラス絵なのか。
ぱっと見はバロックの印象だけれど
良く見るとロココ風味。
古いイメージに仕上げられていますが
20世紀に作られた新しい額縁でしょう。
混合様式の不思議な魅力ある額縁でした。
森へ行かなくちゃ 11月11日
森へ行きたくて 居ても立ってもいられなくなって
10月のおわり 一目散で信州へ。
東京を出るときには薄手のカーディガンで十分でしたが
森に着いてみると ひんやりとした湿度のある空気でした。
どんよりとしていた肺に冷たい空気を一杯に吸い込みます。
緑の森から 徐々に色づいた森へ。
なにはともあれ「森に行かなくちゃ!」という気持ちは
抑えなくてよかった・・・と思っています。
こんがらがった頭の中も 狭くなっていた視野もリセットして
また額縁制作に励みます。
緑色があるのです 11月07日
冬に展覧会が行われることになり
秋の今から少しずつ制作しています。
「黒い螺旋」を新しく作りました。
以前ご覧いただいたものは 下地に赤色を使いましたが
http://www.kanesei.net/2012/09/06.html
今回のものには 深緑色を使ってみました。
写真では あまり緑色が見えませんね。
赤色ほどコントラストがありませんので華やかさ(?)はありませんが
よーく良く見てみれば深緑色 そんな程度。
でも確実に下地の色の効果はあるものです。
「実は緑があるのですよ・・・」と額縁がつぶやいているようです。
赤い下地はハッキリとした強い印象 深緑色は奥行きのある趣
そんな雰囲気になったと思っています。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Viaggio “La più antica Venezia”1- 11月04日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -最古ツアー その1-
ヴェネチアの旅にはサブタイトルをつけていました。
その名も「最古ツアー」です。
もっとも古いホテルに泊まる というのもそのひとつ。
ローマ フィレンツェと周り 最後の街ですので
奮発することにしました。
思えば最初の訪問地ローマの宿は悲しい裏窓の部屋でしたが・・・
「終わり良ければ全て良し」でございます。
ヴェネチア最古のホテルは ヴェネチアらしい華やかさがありました。
ルネッサンス情緒のフィレンツェとは違う ロココ風の愛らしさです。
額縁デザインの参考にしたくなります。
さて 朝ごはんをいただきましょう。
これもまたホテルの楽しみの大きなひとつです。
朝食の間へ足を踏み入れてみたら まるで舞踏会の会場のよう。
バイキング形式のメニューも豊富で美味しくいただきました。
昨夜到着時からの疲れもあっという間に吹き飛ぶ瞬間。
隣の席のマダムは なんと朝からシャンパンを!
このシャンパンも朝食用に準備され ジュースと並んで
カメリエーレ(給仕人)が笑顔でサーブしてくれていたのでした。
最古のホテルの朝食は「最古ツアー」はじまりを飾る美しさでした。
LUNA HOTEL BAGLIONI