diario
La nostalgia in Italia 2011 Firenze -Il melograno- 7月25日
イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -柘榴-
11月のフィレンツェでは 市場でも街中の木でも
柘榴の実りを見ることができました。
日本では あまり見かける機会が無いように感じる
柘榴の実ですが 中国からヨーロッパにかけての
大陸では身近な果物のようです。
宿泊先にも大きなテラコッタの鉢に植えられた柘榴に
ひとつだけ実が残っていました。
誰も食べないのかしら 鳥のご馳走かしら などと
余計な心配をしたのは わたしだけのようですけれど。
今 手元にある「ヨーロッパの模様辞典」という本によると
「西アジア原産の柘榴は種子の多さから繁栄のシンボルとされた。
14世紀のイタリアを中心に東方的なイメージとしてもたらされた
柘榴模様は独自に変貌しつつ高級織物の模様として発展した。」とあります。
ルネッサンスからバロックにかけて 貴婦人の豪奢な衣装に
柘榴模様が使われています。
「柘榴模様の衣装」で一番に思い出したのは
アーニョロ・ブロンズィーノが描いたこの作品でした。
Eleonora di toredo col figlio Giovanni (1544~45)
Galleria degli Uffizi,Firenze
「エレオノーラ・ディ・トレドと子息ジョヴァンニの肖像」
これもまた「多産・繁栄」を象徴する柘榴模様は
外国から嫁いできた女性の肖像画の衣装としてふさわしいのでしょう。
「貴婦人と一角獣」のタピスリーに織り込まれている
貴婦人の衣装にもダマスク織にゴブラン織・・・もちろん柘榴模様がありました。
ドレスの模様もベルトの垂れ飾りも柘榴です。
時代なのか作られた場所なのか 上の肖像画の衣装よりも
柘榴模様がより具体的というか 柘榴と分かりやすい形で
表現されているようです。
14世紀当時とほぼ変わらない佇まいのフィレンツェの街を旅して
今もかわらず愛でられている柘榴を見て・・・
はるか昔の彼女たちの栄華に思いを馳せます。