diario
くちなしの花の香り 6月17日
先日 雨がまだ降っていないカラ梅雨の頃に
駅からの帰り道では そこかしこのお庭から
くちなしの花の甘い香りが漂っていました。
香りのある花は 形が見えなくても確かな存在感があって
「ああ 今年もこの花の季節がやってきた」と強く思います。
くちなしの花で毎年思い出すのは 映画「旅情」です。
1955年公開の キャサリン・ヘプバーン主演作品。
舞台は初夏 くちなしの花の季節のヴェネツィアです。
この映画でふたりの男女が出会って 初めてのデートのシーン
そして最後の別れと旅立ちのシーンで
男性から女性へ くちなしの花が贈られるのです。
(正確にはラストシーンでは渡せないけれど。)
男性が女性へ贈る花と言えばバラをイメージしますが
小枝に一輪咲いたくちなしの花を贈るシーンが新鮮で
「ちょっとした贈り物」の感じがとても印象的でした。
この「旅情」は 大学時代にイタリア語の教授が
紹介して下さったのですが
「ヴェネツィアを舞台にした映画は沢山ありますが
『旅情』が一番ヴェネツィアらしい雰囲気が表現されています」
と話しておられたのが知るきっかけでした。
映画の中の明るい初夏の日差しと輝く海 賑やかな広場や明るい人々
そしてロマンチックで切ない物語・・・
わたしにとって今も 繰り返し観る映画のひとつです。