diario
La nostalgia in Italia 2011 Firenze -Addio un negozio antiquariato del Borgo Albizi- 12月10日
イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -さようなら アルビツィ通りの骨董店-
イタリア留学最後の夏に 母がフィレンツェまで
訪ねてきてくれたことがあります。
2人で下宿先のアパートからドゥオーモのある
中心地まで散歩をしました。
Borgo Albizi(アルビツィ通り)は素敵な商店が並ぶ賑やかな通りで
ウィンドウショッピングには最適です。
普段ひとりで歩いていても入る勇気が起きなかった
薄暗くて古めかしい骨董店があったのですが
その時は母とふたりだったこともあり きしむドアを開けてみました。
おそらくとても広い店内は 壁も見えないほど
あらゆる骨董品がぎっしりと詰め込まれていて
その商品の隙間に 小さなおじいさんとおばあさんの店主ご夫妻が
まるで商品の一部のように座っていました。
ウィンドウに飾ってあった銀のデザートフォークを購入しようと
価格をたずねたところ 最初におじいさんが提示した価格が
低すぎると言って すかさずおばあさんから意見が入り
どちらもなかなか譲りません。
結局 おじいさんとおばあさんの価格の中間で決着しました。
そのデザートフォークは もちろん今も我が家で活躍中です。
このフォークを使うたび あの時のご夫妻の様子が思い出され
フフフ・・・と笑ってしまいます。
そして13年ぶりに 今回の旅行でこの骨董店に行ってみると
閉店の片づけ最中でした。
魔法の道具を売っていても不思議ではないような雰囲気だったお店は
あらかたの商品が運び出されたあとで 薄暗い照明ががらんどうを照らし
数人が(おそらくご家族と思われる)忙しく動いています。
13年前とおなじ椅子に座ったおばあさんは13年前よりさらに一回り小さくなって
ぼんやりした眼差しで空になっていく部屋を眺めていました。
そして おじいさんの姿は見えませんでした。
さようなら アルビツィ通りの骨董店。
デザートフォークは大切にします。