diario
額縁の本 「額縁業界のあゆみ」 10月25日
古い額縁の修復をしていると
おのずと興味を持ち そして知る必要に迫られるのが
日本の額縁製造の歴史です。
ヨーロッパの額縁の歴史は 中世以来からが
すでにまとめられ 各国の特徴や職人に至るまで
資料も豊富に出版されています。
ところが日本は・・・と言うと まだまだ。
日本で本格的に額縁製造が始まったのは明治以降と
歴史があまり長くないことも原因の一つかもしれませんが
これはとても残念なことでもあり わたしのような
仕事をしている人間にとっては困ることもしばしば・・・。
額縁の出自が判ると 中に収められている作品の制作年代の推測
作家についてなど 実に様々なことを理解する手掛かりになります。
そんな訳で 現在調査中の額縁に関しての資料を探していたところ
この「額縁業界のあゆみ」(全国額縁組合連合会編)を
お借りすることができました。
昭和61年出版で非売品ですので貴重な本。
日本の額縁業界史など創成期の逸話や戦中戦後の様子
西洋の文化の額縁を日本に取り入れてゆく過程など
読んでいて改めて先人の努力に感銘を受けます。
また具体的にどこの工房がどのような材料を使っていたか
あるいは 神田の額縁職人の前職はじつは豆腐屋だった など
興味深く ちょっと面白い記載もあります。
お返しする期日までじっくり読み返しました。
出版からすでに26年が過ぎました。
そろそろ「新・額縁業界のあゆみ」が出ると嬉しいのですが。
古い職人さんにお話を伺えるうちに・・・
データ : 記念誌「額縁業界のあゆみ」
全国額縁組合連合会記念誌編集委員会
昭和61年9月24日発行