diario
「バーン=ジョーンズ 装飾と象徴」展 7月16日
以前のブログトピックで 藤田嗣治は
自分の作品に合わせて額縁も自作していたという
お話をしたことがありました。
自分の作品世界を完成させるには 自作の額縁を付けることが
(額縁の完成度も一定以上必要になるにせよ)
一番近い道なのかもしれないけれど 額縁職人が
作った額縁を付けることでまた新しい世界が広がる
可能性があるのではないか・・・と思いました。
先日バーン=ジョーンズの作品展を観て また改めて
同じ考えが巡っています。
三菱一号館美術館で開催されている展覧会
「バーン=ジョーンズ 装飾と象徴」展に出品されている
作品のいくつかは バーン=ジョーンズ自らが作ったと
されている額縁がつけられているとか。
ルネサンス風の祭壇額縁など 木地に石膏を塗り
盛り上げ装飾をして金箔水押しで仕上げられた
素晴らしい額縁でした。
画家が作ったとはにわかに信じられないような仕上がりです。
と言うのも 彼の父親が額縁職人で
彼自身も職人技術を身に着けていたらしいのです。
そしてやはり 自作の額縁がつけられたバーン=ジョーンズの作品は
彼独特の絵の世界が完璧に完成されていました。
19世紀末のアーツ&クラフツ運動に参加していたバーン=ジョーンズは
職人的な仕事をすることに誇りを持っていたことと思います。
油絵にはわざと修復を施されたような細工(裏打ち等)がされ
ニスも黄色く変色した古い趣を出すように工夫してあり
いわば「アンティーク仕上げ」されているのだそうです。
わたしがバーン=ジョーンズを好むのは装飾的だからだと
思っていましたが 今回の展覧会を観て
「古いものが好き」という共通の趣味があったらしい・・・
と言うことも発見のひとつでした。
それにしても やはりと言うか当然というか
図録には額縁の写真はありませんでした。
自作の額縁と判断されているのなら 額縁も作品の一部として
写真を掲載しても良いのではないでしょうか。
なかなか難しいですね。
三菱一号館美術館 http://mimt.jp/