diario
雨の日のエレベーター 1月19日
ふと感じた匂いで突然 強烈な思い出が蘇ることがあります。
匂いの記憶は おそらく脳の奥深くに保存されて
濃く強く残るのではないか と思っています。
木地のまま自然な色を生かす仕上げをするとき
トノコを使って木目を整えることがあります。
(箔下トノコとは別のものです。)
このトノコは土を焼いて作られた黄土色の粉末で
水で溶いて木目に埋め 目止めします。
この「水で溶いたトノコ」の匂いは 言うなれば
「湿気た土埃のにおい」なのですが
不思議ととても好きなのです。
小学生のころに住んでいたマンションのエレベーターは
雨の日に 同じような「湿気た土埃のにおい」がして
やはりとても好きでした。
トノコの作業をしていて 雨の日のエレベーターを思い出します。
我ながら不思議です。