diario
carthago 11月28日
北アフリカにあった古代都市 カルタゴ。
ルネッサンス時代のイタリア フィレンツェの画家ペゼリーノが
このカルタゴのアレゴリーを女性像として描いています。
毎年暮の展覧会「小さい小さい絵」展に出品するテンペラ画で
カルタゴのアレゴリーを部分模写しました。
原作は羊皮紙に描かれたミニアチュールですが
わたしは石膏地に卵黄テンペラで。
Allegory of Carthage 1447~1448 Francesco Pesellino
Hermitage Museum,Saint Petersburg
ルネッサンス時代のフィレンツェではピエトラ・セラーナと呼ばれる
灰色の石が建築で好んで使われていたそうです。
この額縁は いわゆるフィレンツェスタイルではありませんが
灰色はフィレンツェのルネッサンス時代を
イメージさせると言えなくもない・・・かもしれない・・・
などと思っています。
* 「works」内「classical」にこちらの額縁をアップいたしました。
どうぞご覧下さい。
使う目的は無いけれど 11月24日
イタリアのフィレンツェに住んでいたころ
月に一度 アパートの近所にある広場で
アンティークマーケットが開かれるのを楽しみにしていました。
本物の骨董品から いわゆる「古いだけの雑貨」まで
ありとあらゆるものが山積みになって売られています。
何も買わなくても さまざまな雑貨を手に取って眺めたり
古い児童書を立ち読みしたり (今思えば迷惑でした・・・)
にぎわう雰囲気も楽しい市場でした。
その中でも 壊れた家具や部品を売っている店を見るのが楽しくて
あっという間に時間が過ぎてしまいます。
家具の修復を勉強していると言うと値引きしてくれたり。
下の写真の彫刻は 山積みの部品の中から買い求めたものです。
おそらく家具の側面にあった装飾でしょう。
対になっていたはずですが ひとつしか見つかりませんでした。
買ったのは良いけれど使い道もなくて
(そもそも「使う」必要もないのだけれど)
いまは作業部屋の棚の上に飾っています。
彫刻職人の手彫りの跡を見ると
気持ちも暖かになります。
彼女の帰国 11月21日
レオナルド・ダ・ヴィンチの作品といって
まず思い出されるのは「モナ・リザ(ジョコンダ)」でしょうか。
あの微笑は美しくもあり まだ不思議な怖さもありますが
(これはわたしの勝手な思いですけれど・・・)
「白貂を抱く貴婦人」の微笑は あどけなくも清々しい表情です。
フィレンツェでこの「白貂を抱く貴婦人」の展覧会が開かれたとき
ポーランドのクラコフにある所蔵先美術館からはるばる運ばれてきて
美術館勤務の友人は「彼女(絵)が帰ってきた」と喜んでいました。
フィレンツェ近郊出身のレオナルドの人生には紆余曲折があり
フランスで最期を迎えたそうです。
本人が手放さなかったという「モナ・リザ」も
そのままフランスのルーブル美術館が所蔵しています。
晩年のレオナルドが人生を振り返り
故国に帰りたいと願ったか わたしに分かりませんが
おそらく現代のイタリア人の心のどこかに残念さと 同時に申し訳無さと
色々な感情が交差しているのかもしれません。
今月からロンドンのナショナルギャラリーで
大規模なレオナルドの回顧展が開催されています。
寡作のレオナルドの作品はイタリアだけでなく
世界中の美術館の至宝とされていますので
これだけ集まる展覧会は前例がないことだとか。
ロンドン・・・
世界は狭くなっても やはり遠いですね。
Dama con l’ermellino 1488~1490 Leonardo da Vinci
Czartoryski Museum,Kraków
鎮守の森 11月17日
むかし 小学校からの帰り道に神社の境内で
鬼ごっこやかくれんぼをして遊びました。
子供の寄り道に 神社は恰好の場所なのですね。
境内の裏側は薄暗くて 空気がしっとりとしていて
かくれんぼではお気に入りの場所でした。
それは鎮守の森が境内を守っていたから。
子供は押し入れの中や小さなスペースに入り込むと
安心するようですが 鎮守の森の中もまた
同じような安心感があったのかもしれません。
写真の木はヤマトアオダモ。
世田谷区の銘木百選に選ばれている
鎮守の森です。
ハッチングマニア 11月14日
黄金背景テンペラ画の模写では いつも
ハッチングと呼ばれる線描で描いています。
面を無数の線で埋めていくので時間がかかりますが
少しずつ進められること そして線の重なりで
複雑な色の面が完成できるのが魅力だと思います。
仕上げ近くなって 「決めの線」が思い通りに入ったとき
ひとりでニヤリと笑ってしまいます。
わたしはハッチングマニアかもしれません・・・。
本当にあるのかもしれない 11月10日
アイルランドのアラン諸島にある いにしえの遺跡
ドゥーンエンガス(Dún Aonghasa)へ行った時のことです。
ふもとから緩い丘を登り 断崖絶壁にある遺跡にたどり着き
入り口の門をくぐったら 目の前には青い海に向かって開かれた
半円形の広場に出ます。
パワースポットを信じますか?
この空間にいると まるで何も心配のなかった幼いころに
ただ走って走って それだけで楽しくて笑いが止まらなかった時のような
そんな 晴れ晴れとした幸福感に包まれたような気がしました。
ちょっと普通では考えられないような 突然の幸福感で驚き
ガイドさんに話したところ このドゥーンエンガスは
驚くほど良い「気」に包まれた場所だと 気功師さんが言っていたとのこと。
私はそれまでパワースポットなどは信じていなかったのですが
ここを訪れた後は 確かに「力に満ちた場所」は存在するらしい
目に見えない力は本当にあるのかもしれない と思うようになりました。
現在分かっているのは この遺跡は紀元前1~2世紀に造られた
と言うことだけで その目的も だれが造ったかも不明なのだそうです。
神秘的な場所。
いつかまた再訪したいと思っています。
はるか遠くをイメージして 11月07日
読書やPCでの作業 近くを見つめる仕事は
日々の生活の中で結構こなしています。
一日が終わるころにはすっかり目が疲れていることも。
目薬やサプリメントも良いけれど
結局は目の筋肉を休めるのが一番だそうです。
ただ目を閉じても 毛様体筋(焦点を合わせる筋肉)は休まりません。
眠っていても毛様体筋は いわば力が入った状態だとか。
唯一休めるのが 遠くを見たとき。
ですから「目が疲れた時は遠くの緑を見なさい」というのは
あながち気休めではありません。
夜に湯船につかって掌で目をおおって温めて
はるか遠くを眺めるイメージを。
この女性像のバックのような風景を思い浮かべるのも良さそうです。
The Duchess of Urbino 1465~70 Piero della Francesca
Galleria degli Uffizi,Firenze,Italia
庭にて 11月03日
秋ですね。
とにかく秋が来たのがうれしくて仕方ありません。
我が家のささやかな庭に 藤袴 ホトトギスが咲きました。
夏に活躍してくれた緑のカーテン(瓜やゴーヤ)の名残の
ちいさな瓜が3つ。
部屋で眺めて 秋を楽しんでいます。
小さな瓜の模様 まさしく「瓜坊」の柄なのです・・・。
ちなみにこの瓜は食べられません。