diario
大正11年に 1月31日
大正11年の記載がある額縁の修復をしています。
洋画家 坂本繁二郎(1882~1969)が描いた
海岸風景の美しい作品につけられている額縁です。
杉材の木枠に石膏(または胡粉)を塗り
四隅の彫刻には型取りしたものが取り付けられています。
デザインなどを見る限りでは 日本で作られた額縁です。
でも現在は その彫刻も大きく欠け
ところどころ木地が見えている痛々しい状態。
乾燥して今にも剥がれ落ちそうな部分には
何はともあれ剥落止めをして それから作業開始です。
木枠の緩みも接着剤を入れ あて木をして補強します。
美味しいからか お腹が空いていたのか
ねずみがかじった跡も見られました。
ここまで傷むと修復にもおおきな手術が必要。
既存の部分もある程度削り取り
新たに型取りした石膏をはめ込む予定です。
大正11年は1922年 今から90年ほど前。
どちらの職人が作った額縁でしょうか。
おそらく今は天国におられる その職人さんに
安心してもらえるよう 丁寧に直すつもりです。
修復が完成したら またこちらでご覧頂けるように
準備しようと思っております。
ねずみのご飯にならないように
中に納められている絵画作品を危険にさらさないように
長いあいだ収納してある額縁をお持ちの方は
ぜひ定期的に点検してみて下さい。
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