diario
行く末は誰にもわからない 8月09日
古いものが好きなわたしにとって
壊れたり傷んだ美術品を修復する仕事は
とても興味深い作業です。
この作品はどこでどのような時間を過ごし
今に至るのでしょうか。
完成して作家の手を離れた瞬間から
その作品は独自の運命を辿りはじめます。
屋根裏部屋に長いあいだ捨て置かれたがゆえに
奇跡的に保存されていたような作品がある一方で
大切にされていても事故で損なわれてしまうことも。
人と同じように美術作品の行く末は 誰にもわかりません。
でもせめて わたしが修復させていただく作品には
少しでも長く 美しい姿でいて欲しいと思っています。
欠けた彫刻の一部を復元して戻し
色や艶をあわせて現存部分と違和感無くつなげる作業。
それぞれの時間を過ごし わたしの手元に
修復されるために辿り着いた作品には
お疲れ様でしたという気持ちと共に
応援と感謝を込めての作業を。
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