diario
黄金背景卵黄テンペラ 11月22日
先日11月18日にお話したテンペラ画について・・・
わたしが描いているテンペラ画は 卵黄テンペラといい
顔料(絵の具の元の粉)を防腐剤を入れた卵黄で溶いています。
油絵の具の乾性油 水彩絵の具のアラビアガム
テンペラではそれらの代わりが卵黄です。
(全卵や卵黄に樹脂 油を入れるテンペラ技法もあります。)
この技法は中世ヨーロッパで主に使われており
油絵の登場で衰退しましたが 現在もテンペラで制作する作家がいます。
わたしは大学時代に卵黄テンペラに出会いました。
そして古典技法額縁制作へ繋がっています。
というのも 木地にボローニャ石膏を塗り金箔を施し磨くという工程は
(わたしのテンペラの場合 この石膏の上に描いています。)
テンペラも古典技法額縁も材料ふくめ同じだからです。
思えば わたしの額縁への道は大学時代に出会ったテンペラが
大きなきっかけのひとつでした。
大学でテンペラ画を描いている頃は まさかこの技法が
卒業後の人生を変え 共に歩んでいくとは思っておらず・・・。
大きなきっかけや変化というのは その後に振り返ったとき
ようやく気づくものなのですね。
上の写真の本は 数あるテンペラ画技法書のなかで
いちばん分りやすく丁寧だと思っている本です。
特にニスの研究と紹介のページはとても興味深いので
油彩画制作をなさっている方にも読んでいただきたい一冊です。
データ : 「黄金テンペラ技法 イタリア古典絵画の研究と制作」
著者 紀伊利臣
誠文堂新光社
2006年9月1日 第1刷発行