diario
羽のゆくえ 7月16日
フィレンツェで古典技法額縁製作の修行をさせて頂いていた
マッシモ・フランカランチ氏の工房があるのは
サンタンブロージョと呼ばれる教区の一角です。
これはサンタンブロージョ(サント・アンブロージョ)教会のある地区という意味。
マッシモ氏の工房ではもちろん新しい額縁を作るのがメインの仕事ですが
サンタンブロージョ教会の聖具を修復することもあります。
古い蜀台がいくつもいくつも運ばれてきたりしました。
ある日工房へ行ってみると何か彫刻の一部なのでしょうか
羽の一部のようなものが並んでいました。
それほど古い物ではなさそうですが とても美しい羽でした。
あまりに綺麗なので写真を撮らせてもらったのです。
そしてある日 忽然と工房から消えていました。
私がいない間に作業が終わって返却されたのですが
まるで飛んでいってしまったようで寂しい気持ちが残ったものです。
結局この羽は何の部品なのか どこから来たのか 聞きそびれてしまいました。
サンタンブロージョ教会の天使の彫刻の部品だったのかも謎です。
聞かなかったことを今も後悔しています。